条件から候補を絞る

買取店 フランチャイズ

買取店フランチャイズの調査記録(全文)

買取店フランチャイズの比較で使った前提・市場の分析・項目ごとの説明を、省かずに載せます。結論と比較表は買取店フランチャイズ比較にあります。

前提の説明と試算の記録

「撤退率30%」は本当か

ネットでは「おたからやは累計1,500店出店して500店撤退、撤退率30%」という話が流れています。

元をたどると、比較ブログの筆者が「私が耳にした情報では、2022年6月の時点で累計1500店舗出店させ500店舗の撤退」と書いたものでした。出典のない伝聞です。

  • そこで、公式の店舗一覧で確かめました。2023年5月10日の一覧には1,118店が載っていました。そのうち279店(25.0%)が、2026年10月7日の一覧にありません編集部の集計(2026年10月7日)。期間は3年5か月で、1年あたりにすると約8%です。同じ市区町村に名前の近い店が新しく載った32店は、移転や改名かもしれません。それを除くと247店(22.1%)です編集部の集計(2026年10月7日)。
  • 編集部の結論はこうです。「撤退率30%」は数字の作り方が違い、そのまま信じる根拠はありません。ただ、3年あまりで店の2割以上が一覧から消えているのは事実です。 一方で一覧は2,054店まで増えています。消えた店より新しく載った店のほうがはるかに多く、本部が縮んでいるわけではありません。
本部説明
買取大吉買取大吉は2023年10月の803店のうち196店(24.4%)、旧WAKABAは187店のうち47店(25.1%)が消えました編集部の集計(2026年10月7日)。
おたからやこの「2割以上が消えて、それ以上に増える」形は、おたからやだけではありません。

逆に、エコリングは比べた21府県の222店のうち6店、売るナビは140店のうち10店、キングラムは77店のうち9店、さすがやは66店のうち5店です編集部の集計(2026年10月7日)。本部によって、店の残り方は3倍から9倍違います。 本部名より、この数字で選んでください。


この業態の数字で分かる前提

1. 売上の大半は買取額で、残るのは3割台

買取店の売上は、買い取った品を業者・本部・オークションに売った額です。そのうち6〜7割は、お客さんに払った買取額です。BRAND OFFは「売上粗利率は平均35%」と公開しています企業公表。本部の収支モデルの粗利率は、えびすや29%・キングラム30%・売るナビ40%と開きがあります企業公表。

  • 当サイトは1件あたりの売上12万円で全本部を計算し、粗利率は2つの置き方を分けています。判定に使う試算は、本部が自社の粗利率を公表していて共通の35%より低ければ、その本部の値です(キングラム30%・BRAND OFFの標準モデル30%・えびすや29%。高い本部は35%のまま)。キングラムなら1件あたりの粗利は32,728円(税抜)、標準の月62件で粗利は月203万円です(試算)。
  • 費用の構造だけを比べる試算は、全本部を粗利率35%にそろえたもので、本部ページに並べて出します。標準の件数なら、粗利率5ポイントの差だけで、キングラムの店長を雇う試算は月107万円から月73万円に下がります。粗利率は、本部の利益の例を大きく左右する入力です。
  • 買い取った品を売って入金されるまでの資金(買取資金)は、開業時に300万円を足しています(標準の件数の月の買取額の1〜2週間分)。在庫を持つ日数、オークション・業者への売却手数料、査定の損は、公表している本部がほとんどなく、試算に入れていません。在庫を長く持つ店や、売却手数料がかかる売り先を使う店は、利益がさらに下がります。
  • 1件12万円・月62件という共通の条件は、本部ごとの費用の構造を同じ物差しで比べるための仮想の条件です。その件数と単価を、あなたの商圏で集められる見込みではありません。件数・単価・広告費は本来いっしょに動き、件数を増やすには広告費が増え、地方では家賃が下がる代わりに件数と単価も下がりえます。
  • 1件の売上を10万円(公表の買取客単価平均)に下げた試算は、「おすすめ」「条件次第」の本部ページの「試算の主要な入力の確かさ」の感度の欄に出しています。出店を決める前に、近くの加盟店の件数と単価の実績を本部に求めてください編集部判断。

2. 本部への支払いは、粗利から見ると軽い

  • 買取店のロイヤリティは、月5万〜25万円の定額がほとんどです。売上に対する率ではありません。標準の件数・都市部の試算で、本部への支払いは粗利の4.2%〜10.6%です(本部費を確認できた本部)。重いのは本部費より、人件費・家賃・広告費です。

3. 金相場で売上が動く

  • 売上の多くは金・プラチナです。田中貴金属の国内の金価格(税抜・年平均)は、2023年の1グラム8,834円から2025年の17,302円へ、約2倍になりました企業公表。この3年で一覧が大きく伸びた理由の一つです。金価格が2割下がると、標準の件数・都市部・店長を雇うキングラムの試算は、月73万円から月49万円に下がります(売上の6割が貴金属と置いた試算)。今の相場で回収の計画を立てると、相場が戻ったときに崩れます。

4. 売りに出ている買取店の年商は、2,500万〜5,000万円が多い

  • 事業承継サイト(TRANBI)で売りに出ている店頭の買取店15件のうち、年商の帯は「2,500万〜5,000万円」が5件で最も多く、営業利益の帯は「0〜500万円」が7件でした編集部の集計(2026年10月7日)。当サイトの少ない水準の月40件は、このあたりの店です。本部の収支モデルの数字は、これより大きな店の例です。

決め手は3つだけ

1. 物件・内装を含む初期費用と、毎月の本部費が両方分かるか

  • 公開されているのが加盟金だけ、という本部が多くあります。バイセル(加盟金250万円)、売るナビ(加盟金300万円)、金のクマ(加盟金200万円)は、物件・内装を含む総額が出ていません。総額が分からなければ、回収を計算できません。この3本部は、店の残り方は悪くないのに「様子見」にしています。

2. 店が残っているか

  • 上に書いたとおり、本部で大きく違います。募集ページの「継続率」より、公式一覧を自分で数えてください。買取大吉の「年間店舗継続率97.9%」は、3年に直すと約6%の店が消える数字です。一覧では2割以上が消えています。

3. 店長を誰がやるか

  • 当サイトの試算では、店長(社員)とパート1名を雇います。店長の人件費は月32.5万円です。オーナーが自分で店長をすると、その分が手元に残ります。キングラムなら標準の件数・都市部で月106万円です(オーナーの労働報酬込み。生活費として月25万円を引くと月81万円)。買取店は、査定と接客をする人がいないと開けません。人を雇うなら、査定を任せられる人の採用を先に考えてください。

市場・収益分析の要点と、店の推移の記録

03市場・収益分析

15社を同じ物差しで調べて分かったこと

1

照合の起点から現在までで、一覧に新しく載った店より消えた店が多い本部がある

公式の店舗一覧を、本部ごとに照合の起点と現在で店名・住所で突き合わせました(期間は本部ごとに違い、約2.8〜3.4年)。直近1年の区切りで店名を突き合わせて集計できた本部は、15本部中0本部です。そのため、この図は照合の起点から現在までの増減です(編集部の判断の「この1年」の表は、一部の本部について一覧を別に数えた値で、対象の本部数を表に書いています)。一覧に新しく載った店より、一覧から消えた店が多い本部が1社ありました。

お宝本舗えびすやは一覧に新しく載った店0店・一覧から消えた店4店です。

買取大吉+1372店(803→2175店・載1568・消196)
おたからや+936店(1118→2054店・載1215・消279)
エコリング(21府県のみ)+127店(222→349店・載133・消6)
バイセル+111店(187→298店・載158・消47)
お宝本舗えびすや−4店(15→11店・載0・消4)

上:照合の起点から現在までで一覧の店が増えた本部/下:減った本部。括弧内は起点→終点の店舗数と、一覧に新しく載った店・消えた店の数です(起点+載った−消えた=終点)。一覧の動きで、実際の開店・閉店とは限りません。消えた店には移転・改名を含む場合があります。

2

黒字に必要な月の買取件数は、本部によって大きく違う

同じ式で試算すると、黒字に必要な月の買取件数は少ない本部で30件、多い本部で39件です(都市部の家賃)。

少ないほど、月の買取が集まらなくても赤字になりにくい(毎月の本部への支払いの総額を確認できた本部。参考扱いの7社は除く)

3

初期費用を取り戻すまでの期間は、1年5か月から1年9か月まで開く

標準の月の買取件数・都市部の試算です。判定に使う回収の期限は5年で、図の縦線が期限です。毎月の本部への支払いの総額と初期費用を確認できた2社のうち、0社は期限内に初期費用を取り戻せません。本部への支払いが非公開・未確定などで参考扱いの7社は、この数に入れていません(本部ページに参考値)。

公表の初期費用に物件取得費が入っていない(入るか分からない)お宝本舗えびすやも、この図から外しました(物件取得費を足した回収の幅は本部ページに参考として載せています)。

買取専科1年5か月
キングラム1年9か月

短いほど早く回収できる(開業から6か月で月の買取件数が上がる前提)。確認できた2社をすべて表示。回収は、本部が公表した初期費用(判明分の合計・税抜)で計算しています。物件取得費・内装など開業支出の一部を含まない本部は、実際の回収はさらに延びます(立ち上がりの赤字は月別の試算に入れてあり、予備は回収の対象に入れません)

市場・収益分析レポート15社の店舗数の増減・損益分岐・回収期間・本部の体制をすべて見る(約10分)

項目ごとの説明・宣伝文句の読み方・言いにくいこと

お金のほかに見る4つのこと

買取店は、知らない人から現金で品物を買う商売です。

盗品を買えば店が疑われ、高齢のお客さんを相手に強引に買えば、看板ごと信用を失います。だから、お金の試算とは別に、次の4つを本部ごとに見ました(全項目の決まりは評価ロジックに書いています)。

1. 本人確認と盗品:許可も責任も、加盟店の名義だから

  • 古物商の許可は、加盟店が自分の名義で警察に申請します。原則として買い取るたびに相手の本人確認をし、帳簿に残し、盗品の疑いがあれば警察に申告する義務があります行政資料。対価の総額が1万円未満の取引などには本人確認の例外がありますが、品目によっては例外が使えません。どの取引が対象かは、許可を受ける都道府県の警察で確かめてください。店員が毎回この手順を守れるかが、店の存続を決めます。
  • 本部の研修に法令が入っていると書いたのは、大黒屋(査定・接客・集客・法令を最大14日)でした。キングラムは客向けサイトに古物営業法の表記と、犯罪収益移転防止法の取引時確認のページを置いています企業公表。ほかの本部は、研修で法令をどこまで教えるかを公開資料で確かめられませんでした。

2. 出張買取:法律の網がいちばん厳しいから

  • 自宅での買取は特定商取引法の「訪問購入」です。依頼のない勧誘はできず、8日間のクーリング・オフの間は品物の引き渡しを断れます。訪問購入の相談は、2025年度も7,523件ありました。不用品の買取のつもりが貴金属を安く買われた、という相談が典型です行政資料。
  • バイセルは、本部のコールセンターに来た出張買取の依頼を加盟店に回す型です企業公表。おたからや、キングラムも出張買取をしています。出張に出るなら、書面の交付とクーリング・オフの間の保管を、店が毎回守る仕組みが要ります。逆に、えびすやは「依頼のない訪問買取や電話勧誘は行っておりません」と、チェーン名をかたる勧誘に注意を呼びかけています企業公表。

3. 金の地金:本人確認の書類がないと、消費税を差し引けないから

  • 金や白金の地金を買い取ったとき、売った人の本人確認書類を残していないと、その仕入れの消費税を差し引けません(2019年10月から。密輸と不正還付の対策)行政資料。2024年4月からは、税抜200万円以上の金地金を仕入れた事業者に、消費税の計算の決まりが追加されました。地金を多く扱う店ほど、税の手続きの手間とリスクが増えます。本部が税理士の支援や書類の型を用意しているかを確かめてください。

4. 金相場:上の「前提」に書いたとおり、売上が相場で動く

  • 金の価格は3年で約2倍になりました。相場が下がる局面では、買った品の売値が下がり、在庫を持つほど損が出ます。本部が買取品をすぐ引き取るか、加盟店が相場の変動を抱えるかで、リスクの大きさが変わります。
  • 編集部の結論: 15本部の名前で、古物営業法の処分、訪問購入の処分、盗品の買取の摘発は見つかりませんでした。判定を変えた本部はありません。「おすすめ」にする条件に、本人確認と古物営業法の決まりを本部が公開資料で示していることを足しました。キングラムは満たします。出張買取を送客の中心にする本部(バイセル)や出張買取をする本部では、訪問購入の書面とクーリング・オフの運用を、判断票で確かめる点に入れました。

そのまま判断材料にしない宣伝文句

  • 「継続率」「撤退ゼロ」。 買取大吉は「店舗継続率96%超」(2019年)、「93%超」(2020年)、「赤字撤退ゼロ」(2023年)、「事業成功率90%以上」(2024年〜)と数字を変えています。さすがやの「赤字撤退無しの実績」も、定義が書かれていません。
  • 回収の期間。 「最短1ヵ月」(おたからや)、「最短2か月」(銀座屋)、「最短3か月」(買取大吉)。どれも人件費やオーナーの給与を含まない収支例が多い本部の言葉です。
  • 「ロイヤリティ0円」。 さすがやの0円プランは「特定の条件を満たす個人・法人に限ります」で、条件が公開されていません。買い取った品の売り先が決められていると、売値が本部の言い値になります。
  • 「0次募集」「期間限定」。 バイセルのロイヤリティ6か月免除は先着30加盟で、1年以内に解約すると免除分を返します。BRAND OFFの加盟金100万円も「期間限定価格」です。
  • 店舗数。 キングラムは2021〜2024年に「全国に80店舗」と同じ数を出し続けました。買取大吉の店舗ページは2023年10月に「全国に400店舗運営」と書きましたが、同じ日の一覧には803店が載っていました。

言いにくいこと

最大手のおたからやは、元加盟店に訴えられています。 2022年7月に元加盟店オーナー7件が提訴し、2023年10月には3次提訴が報じられました(テレビ東京WBS)。元オーナーは「3カ月ぐらいで元が取れる」と説明され、近くに出さないと聞いていたのに半径3キロ以内に4店が開き、半年で閉めたと話しています。本部は「すべてのオーナーに対し和解の提案」をしていると答えています。判決や和解の中身は、公的な資料では確かめられませんでした。

  • 店が急に増える本部は、近くの店と客を取り合います。
  • 公式の一覧の店は、おたからやが約3.4年で1,118店から2,054店に(936店増)、買取大吉が約2.9年で803店から2,175店に(1,372店増)増えました編集部の集計。
  • 新しく開く店の近くに、同じ看板の店が後から出ることがあります。
  • 契約書の「近くに出店しない範囲」は、署名の前に読んでください。

出張買取は、規制が違います。 自宅に出向いて買い取ると、特定商取引法の「訪問購入」になり、依頼のない勧誘の禁止と8日間のクーリング・オフがかかります。2024〜2025年には、消費者庁や経済産業局が訪問購入の業者に業務停止を命じています(本調査の15本部ではありません)。本部が出張買取を勧めるなら、その運用まで研修で教わってください。

売りに出ている店のほうが、安く始められることがあります。 TRANBIの店頭の買取店15件のうち、希望額が1,000万円以下の案件が10件ありました編集部の集計(2026年10月7日)。FCの新規開業は、物件込みで550万〜1,560万円です。売り手の数字は監査されていませんが、一度は比べてください。


承継・独立開業の説明

それでも買取店を開きたい人へ

「おすすめ」は1本部です。

全業態で同じ規則を当てた結果です。契約相手が分かる、本部に毎月払う合計が分かる、勧める運営のしかたで利益が出て5年以内に初期費用が戻る、起点の店が一覧に残っている。この4つを満たしたのがキングラムです。

「条件次第」はBRAND OFF買取専門店、買取大吉、「おすすめしない」はお宝本舗えびすやです。残りの本部は、初期費用の総額か毎月の本部費が分からず「様子見」にしています。どの本部でも、説明会では次の3つを書面で求めてください。物件・内装を含む見積もり。毎月の本部への支払いの全部。ここ3年で閉めた加盟店の数です。