学習塾・個別指導 フランチャイズ
学習塾・個別指導フランチャイズの調査記録(全文)
学習塾・個別指導フランチャイズの比較で使った前提・市場の分析・項目ごとの説明を、省かずに載せます。結論と比較表は学習塾・個別指導フランチャイズ比較にあります。
前提の説明と試算の記録
この業態の数字で分かる前提
1. 講師の給与は、生徒が増えるほど増える
- 個別指導は、講師1人が生徒2人ほどを見ます。
- 生徒が増えれば、講師のコマも増えます。
- 本部の収支モデルで、講師の給与を生徒数で割ると、1人あたり月7,383〜11,357円でした(明光義塾・城南コベッツ・個太郎塾・トライプラス・Axisの本部の収支モデル企業公表)。
- 最低賃金が上がっているため、当サイトは中央より上の9,500円で置いています。
このため、生徒が増えても利益は思うほど増えません。在籍が増えるほど講師の採用も必要になります。講師は大学生のアルバイトが中心で、3月の卒業でまとめて辞めます。
2. 子どもは毎年卒業していく
中3と高3は、受験が終わればやめます。平均の在籍期間を2年9か月前後とみて、退塾率を月3%と置きました。在籍50人なら、毎年18人前後を入れ直す計算です。生徒の獲得には1人5万円ほどかかります(本部の収支モデルの広告費から)。
- 子どもの数も減っています。2025年度の小学生は581万2千人、中学生は310万5千人で、どちらも過去最少です行政資料。2025年の学習塾の倒産は55件で、過去最多でした行政資料。原因の8割は販売不振です。
3. 立ち上がりに1年かかる
- 学習塾の入会は、新学期と講習期に集中します。個太郎塾の生徒数モデルは、1年目平均25名・2年目50名です企業公表。当サイトは、12か月で目標の在籍に届く前提で計算しています。これでも本部のモデルより速い前提です。
4. 売りに出ている教室の在籍は40人前後
- 事業承継サイトの学習塾の案件で、在籍が書かれた162件の中央値は40人でした編集部の集計(2026年10月7日)。FC加盟の案件に限ると、71件で37.5人です編集部の集計(2026年10月7日)。当サイトの標準の50人は、売りに出ている教室より少し上の水準です。
決め手は3つだけ
1. 教室長を誰がやるか
- 上に書いたとおりです。自分が教室長をするなら、比べられる本部は増えます。雇うなら、本部の数字をもっと厳しく見てください。説明会では「教室長の給与を引いた後の利益」を聞いてください。答えられない本部は多いはずです。
2. 教室が残っているか
- 公式の教室一覧を約3年前と比べると、起点の教室のうち消えた割合は、本部で大きく違いました。フリーステップは起点の262校のうち9校、Axisは511校のうち27校です編集部の集計(2026年10月7日)。松陰塾は297校のうち99校が消え、学研CAIスクールも比べた地域で2割が消えています。
- 教室の増減は、本部の資料より一覧で確かめてください。ITTOは「現在の校舎数1,228校」と書きますが、公式一覧のITTOは884校です。学研CAIスクールのポータルの「全国160教室」も、一覧と合いません。
3. 毎月の本部への支払いが、全部分かるか
- ロイヤリティは売上の7〜15%が多く、定額や生徒1人あたりの費用が上乗せされます。在籍50人の試算で、本部への支払いの売上比は9.5%〜14%です(本部費を確認できた本部)。
- 金額の分からない費用が残る本部もあります。スクールIEの「諸費用規程」、松陰塾の学習システム利用料、自立学習REDのロイヤリティの率です。分からない費用がある本部は、試算が良く見えても判定を上げていません。
市場・収益分析の要点と、教室の推移の記録
03市場・収益分析
16社を同じ物差しで調べて分かったこと
照合の起点から現在までで、一覧に新しく載った店より消えた店が多い本部がある
公式の教室一覧を、本部ごとに照合の起点と現在で店名・住所で突き合わせました(期間は本部ごとに違い、約2.6〜3年)。直近1年の区切りで店名を突き合わせて集計できた本部は、16本部中0本部です。そのため、この図は照合の起点から現在までの増減です(編集部の判断の「この1年」の表は、一部の本部について一覧を別に数えた値で、対象の本部数を表に書いています)。一覧に新しく載った店より、一覧から消えた店が多い本部が10社ありました。
明光義塾は一覧に新しく載った店36教室・一覧から消えた店162教室です。
上:照合の起点から現在までで一覧の店が増えた本部/下:減った本部。括弧内は起点→終点の教室数と、一覧に新しく載った店・消えた店の数です(起点+載った−消えた=終点)。一覧の動きで、実際の開店・閉店とは限りません。消えた店には移転・改名を含む場合があります。
黒字に必要な在籍生徒数を、標準の水準に対する割合で比べる
本部ごとに標準の在籍生徒数が違うため、黒字に必要な在籍生徒数を標準の水準に対する割合に直して並べました。低い本部で68%、高い本部で104%です(都市部の家賃)。
低いほど、利用が集まらなくても赤字になりにくい(毎月の本部への支払いの総額を確認できた本部。参考扱いの13社は除く)
初期費用を取り戻すまでの期間は、3年10か月から3年10か月まで開く
標準の在籍生徒数・都市部の試算です。判定に使う回収の期限は5年で、図の縦線が期限です。毎月の本部への支払いの総額と初期費用を確認できた1社のうち、0社は期限内に初期費用を取り戻せません。本部への支払いが非公開・未確定などで参考扱いの13社は、この数に入れていません(本部ページに参考値)。
公表の初期費用に物件取得費が入っていない(入るか分からない)ITTO個別指導学院も、この図から外しました(物件取得費を足した回収の幅は本部ページに参考として載せています)。
短いほど早く回収できる(開業から12か月で在籍生徒数が上がる前提)。確認できた1社をすべて表示。回収は、本部が公表した初期費用(判明分の合計・税抜)で計算しています。物件取得費・内装など開業支出の一部を含まない本部は、実際の回収はさらに延びます(立ち上がりの赤字は月別の試算に入れてあり、予備は回収の対象に入れません)
項目ごとの説明・宣伝文句の読み方・言いにくいこと
お金のほかに見る4つのこと
学習塾は、子どもを夜の教室で預かり、保護者から授業料を前に受け取る仕事です。
お金の試算とは別に、次の4つを本部ごとに見ました(全項目の決まりは評価ロジックに書いています)。
1. 子どもの安全:2026年12月から「日本版DBS」の認定が始まる
- 下の「言いにくいこと」に書くとおり、明光義塾とスクールIEで、教室長による生徒への性被害の事案がありました。どちらの本部も、その後の対策を公表しています。明光義塾は全事業所の防犯カメラと講師採用時の適性検査(FCを含む)を、やる気スイッチグループは監視カメラ・全社員の研修・禁止行為の誓約書を挙げました企業公表。
- こども性暴力防止法が2026年12月25日に施行されます。認定を受けた塾は、子どもと接する職員の性犯罪歴を国のしくみで確かめます。塾にとって認定は任意ですが、保護者が塾を選ぶ目安になっていくはずです行政資料。
- フランチャイズで大事なのは2点です。認定は事業者が自分で申請するもので、加盟店は本部とは別の事業者なので、本部の認定は加盟店に及びません。認定が事業者ごとか教室ごとか、例外や経過の扱いは、施行に向けて国が出す指針で確かめてください(2026年10月時点の公表資料で編集部が読んだ範囲)。そして、教える人が3人未満の教室は、認定を受けられません行政資料。
- 講師をほとんど雇わない自立学習RED(本部の型は講師1人分)のような塾は、教室長と合わせて3人に届かなければ、認定の外に置かれます。本部のサイトに認定のマークが出ていても、加盟店の教室も認定されているとは限りません。
2. 前受金と中途解約:学習塾は法律で守りが決まっているから
- 学習塾は、2か月を超え5万円を超える契約なら、特定商取引法の「特定継続的役務」です。書面の交付、8日間のクーリング・オフ、中途解約のときに受け取れる額の上限(授業の開始後は2万円か1か月分の授業料の低い方)が決まっています行政資料。夏期講習や年間の一括払いで、この線を超えることがよくあります。書面の雛形と、途中でやめた生徒の精算のしかたを本部が用意しているかを確かめてください。16本部の名前で、特定商取引法の処分は見つかりませんでした。
3. 合格実績などの表示:数え方が、そのまま信用になるから
- 塾の広告では、合格実績・満足度・料金の比較が問題になりやすいです。消費者庁は2023年、ほかの塾2社(5-Days、メガスタ)に景品表示法の措置命令を出しました(16本部とは無関係)行政資料。本部が全国の合格実績を出す場合、FC教室のチラシにどう載せるか、講習だけの受講生を数えるかを確かめてください。
4. 講師の質と労務:大学生のアルバイトが中心だから
- 講師の多くは大学生のアルバイトです。厚生労働省と文部科学省は2015年、学習塾の業界団体に、労働条件の明示や授業の準備時間の賃金の支払いを要請しています行政資料。採用の基準、研修の時間、準備の時間の扱いは、本部のマニュアルで決まっているかを聞いてください。
- 編集部の結論: 判定を変えた本部はありません。子どもの安全の2件は、どちらも本部が対策を公表しています。「おすすめ」にする条件に、教室の安全対策と講師の採用・研修を本部が公開資料で示していることを足しました。2026年10月8日の時点で、Axis(判定は本部費の上限が決まらないため条件次第)とFree Stepは満たします。Axisは加盟店の備品費に防犯備品とセコムの設備を入れ、講師の採用・研修制度を示しています。
- Free Stepは塾生の安全管理のページで、全職員の研修、入退室時の保護者へのメール、教室の内部監査を示しています企業公表。ただFree Stepは、これがFC教室にも同じようにかかるかを書いていないため、判断票で確かめる点に入れ、「おすすめ」の範囲を資料と説明会で比べる段階までに限りました。
そのまま判断材料にしない宣伝文句
- 「加盟金0円」「ロイヤリティ0円」。 ITTOは加盟金0円ですが、在籍が20・40・60・80人に届くたびに50万円を払います。松陰塾は「ロイヤリティ0円」ですが、毎月の学習システム利用料の金額を2020年からページに出していません。
- 「期間限定」「先着◯校」。 スクール・ワンの加盟金の割引は、期限を書かずに約4年半続いています。Axisの加盟金のキャンペーンも、2019年から名前を変えて続いています。
- 利益の例。 自立学習REDのアントレは、人件費を外した「オーナー1名 利益1100万円」の見出しに差し替えました。ECCベストワンは「50名で利益約400万円」の例を2025年に消しています。
- 募集ページの教室数。 ITTOの「1,228校」、学研CAIスクールの「160教室」、松陰塾の「300校突破」は、どれも公式一覧の数より大きい表記です。
- 「未経験でも安心」。 学習塾は、教室長の面談と講師の採用で決まる商売です。未経験かどうかより、平日の夜に教室に立てるかを考えてください。
表示が変わる理由は、業績だけではありません。ただどの場合も、過去の数字では契約できません。今の数字を、本部に書面で聞いてください。
言いにくいこと
最大手の明光義塾でも、FC教室は減っています。 開示書面では、FC教室は3年で1,339から1,184に減りました。FCの解約は年43→38→18教室です。教室長を雇う試算では、在籍50人・都市部で月10万円の赤字になります。公式の収支モデルは、2017〜2018年の直営のデータのままです。
| 本部 | 説明 |
|---|---|
| 明光義塾 | 2024年、埼玉県内の明光義塾の教室の当時の教室長が、生徒10人を盗撮した罪で有罪判決を受けました(直営かFCかは報道で未確認)。 |
| スクールIE | 2025年には、スクールIEの元教室長が教え子へのわいせつの疑いで逮捕されています。 |
子どもの安全は、教室長1人にかかっています。本部が懲戒解雇した社員です。どちらも本部全体の問題とは言えません。
ただ、加盟店のオーナーが教室長を雇えば、同じ責任をオーナーが負います。採用時の確認と、教室の見通しのよさは、説明会で必ず聞いてください。
- 本部とのトラブルは、裁判にもなっています。 武田塾では2023年、本部を訴えたFC校の約130m先に直営校を開く計画が、東京地裁で差し止められました。個別指導WAMでは、本部の営業支援の債務不履行を理由にした加盟店の契約解除を、大阪地裁が認めています(判決文の記載)。契約書の「支援の義務」と「近くへの出店のルール」は、読んでから署名してください。
- FCで新しく開くより、売りに出ている教室のほうが安いことが多いです。 FC加盟の案件の希望額の中央値は300万円でした(257件)編集部の集計(2026年10月7日)。AxisやITTOの初期費用は700万円台です。売り手の数字は監査されていません。それでも、在籍している生徒ごと引き継げる案件と、一度は比べてください。
承継・独立開業の説明
それでも塾を開きたい人へ
「おすすめ」は0本部です。
全業態で同じ規則を当てた結果で、学習塾だけ条件を厳しくしてはいません。契約相手が分かる、本部に毎月払う合計が分かる、勧める運営のしかたで利益が出て5年以内に初期費用が戻る、起点の教室が一覧に残っている。この4つを満たしたのがなしです。どちらも、オーナーが自分で教室長をする前提での判定です。
- FCを使わずに始める道もあります。
- 1. 売りに出ている教室を引き継ぐ。 在籍名簿の実数、学年の内訳、講師が残るかを先に確かめてください。中3・高3が多い教室は、春に在籍が大きく減ります。
- 2. 自分で一から開く。 本部に払う売上の10%前後が要りません。その代わり、教材・集客・講師の研修の型を自分で作ります。教える経験がある人ほど、FCに払う理由は小さくなります。