放課後等デイサービス・児童発達支援 フランチャイズ
放課後等デイサービス・児童発達支援フランチャイズの調査記録(全文)
放課後等デイサービス・児童発達支援フランチャイズの比較で使った前提・市場の分析・項目ごとの説明を、省かずに載せます。結論と比較表は放課後等デイサービス・児童発達支援フランチャイズ比較にあります。
前提の説明と試算の記録
この業態で評価の項目を増やした理由
1. 支援の質:子どもにとって、どの事業所でも同じではないから
放課後等デイサービスは、国のガイドラインで「預かり」ではなく発達支援の場と決められています。
2024年度からは、健康・運動・認知・言葉・人との関わりの5領域を含む支援を、事業所全体の「支援プログラム」として公表する決まりになりました。
- 本部が療育の型を持っているか、専門職を置く前提か、ガイドラインに沿った研修をしているかは、加盟した事業所の質を左右します。保護者は事業所を選び直せるので、質はそのまま利用率にも効きます。
2. 質の開示:公表しないと報酬が15%減るから
- 支援プログラムと自己評価・保護者評価は、事業所ごとに公表する義務があります。公表しないと基本報酬が85%になります。本部が公表をまとめて点検しているかどうかで、加盟店のうっかりの減算を防げるかが分かります。
- 今回の10本部で、本部サイトに教室ごとの自己評価と支援プログラムをまとめていたのは、ブロッサムジュニアだけでした。ただし2026年10月8日時点で、令和8年度分として載っていたのは9教室分で、公式の教室一覧の95教室に対して1割ほどです編集部の集計(2026年10月8日)。公表の期限と、一覧の教室のうち何教室が対象(指定を受けて1年を超えた事業所)かは分からないため、この数で加盟店の公表の実施率は評価できません。
- 分かるのは「本部がまとめて載せる仕組みがある」ところまでです。支援の質そのもの(プログラムの中身、職員の研修と技能の確認、点検と改善の記録)は、公開資料では確かめられていません。てらぴぁぽけっとは、お知らせで教室ごとの自己評価表の公開を告知しています。
3. 人員基準と行政処分:指定を取り消されると、事業がその日に止まるから
- 事業所は児発管を常勤で1人置かないと、報酬が大きく減ります(減算が始まる時期や猶予は、欠けた理由と期間で変わります)。欠けているのに減算せずに請求すると、不正な請求として返還を求められ、悪質なら指定の取消などの処分の対象になります。処分は指定を受けた加盟法人に出ます。返還は不正分に最大40%の加算金が付き、事業所は閉鎖になります。
- 今回、2つの大手で加盟店の指定取消が見つかりました行政資料。
| 本部 | 事業所 | 内容 | 続いた期間 |
|---|---|---|---|
| こぱんはうすさくら | 大津ヶ丘教室(柏市) | 児発管がいないのに減算せず請求。返還等の請求額は約9,475万円 | 4年10か月 |
| こどもプラス | 東松山教室(埼玉県) | 利用日数の水増しなどで約3,098万円を不正請求。同じ法人の坂戸教室でも約3,410万円 | 6年あまり |
どちらも違反が何年も続いていました。本部が年1回でも人員と請求を点検していれば、気づけた長さです。そして、どちらの本部も事案の経緯を公表していません。
だから編集部は、収支を見る前に「おすすめしない」にしました。
4. 制度のリスク:売上の単価を決めるのが国だから
- 売上のほとんどは国保連からの給付費で、単価は国が3年ごとに決め直します。2024年度には支援時間で報酬を分ける見直しがありました。2026年6月からは、新しく指定を受ける事業所の基本報酬が下がりました(放課後等デイサービス98.2%、児童発達支援98.8%)行政資料。国の説明は「収支差率が5%以上で、事業所が3年続けて5%以上増えたサービス」でした。
- 自治体によっては、事業所が足りている地域で新しい指定を出さない「総量規制」もあります。加盟金を払った後に指定が下りない、ということが起こりえます。
5. お金:法令上の最低配置と、実際に回す配置を分けて計算しないと、意味がないから
- 本部の収支例には、満員(稼働率100%)の売上だけを見出しにするものや、人件費が当サイトの想定より大きく少ないものがありました。配置には3つの意味があります。法令上の最低配置は、定員10人以下の放課後等デイサービスで、児発管1人(常勤)と、児童指導員か保育士2人(うち1人以上は常勤)です(管理者は兼務できます)。加算のための配置は、児童指導員等加配加算を取るための常勤1人です。
- 当サイトの想定配置は、この2つに送迎と補助の非常勤2人を足したもので、全本部をこの配置で計算しています(児発管1人・常勤3人・非常勤2人)。送迎と補助は法令の最低配置ではなく、実際に回すための想定です。給与は国の経営概況調査の値です。
6. 加盟者の責任:指定を受けるのは本部ではないから
- 指定は加盟した法人が受けます。本部の支援は、申請の手伝い、研修、運営の助言までです。行政の運営指導に立ち会うのも、返還するのも加盟法人です。本部が何をして、何をしないのかを、契約前に書面で分けておく必要があります。
7. 利用者の安全:子どもを預かる仕事だから
- 送迎中の事故や虐待は、子どもを傷つけ、事業も終わらせます。今回、10本部の本部名・運営会社名・ブランド名で、2026年10月に報道と自治体の発表を検索した範囲では、事故・虐待の処分や報道は見つかりませんでした。ただ、自治体の発表は事業所名で出るため、ブランド名の検索では見落としがありえます。
「稼働率100%で月○百万円」は本当か
- 宣伝に出る数字の多くは、満員のときの売上です。
- こどもプラスは「定員10名・週6営業・稼働率100%で月279〜369万円」企業公表、こぱんはうすさくらの本部原稿は「定員20名・30日稼働・100%稼働で月商820万円」企業公表と書きます。
全国平均の利用率は85.5%です(2021年度、WAM)。黒字の事業所の平均でも90.4%でした行政資料。当サイトの単価(都市部・1回12,007円)で計算すると、定員10人・月23日の満員でも売上は月276万円です(試算)。
もう一つの落とし穴は人件費です。Grannyの収支例は、定員5名の重症心身障害児の事業所で人件費を月61.5万円としています企業公表。この事業所は、児発管・看護職員・保育士か児童指導員・機能訓練担当職員を置く決まりです。当サイトがこの4職種を最小限の人数・国の調査の給与で置いた想定では、月153万円かかります(試算)。ただ、兼務や非常勤の組み合わせ、勤務時間の置き方で人件費は変わります。
- 収支例の配置の内訳は公表されていないため、人員基準に届いていないとは確定できません。分かるのは「当サイトの想定の半分以下で、内訳が説明されていない」ところまでです。
- 編集部の結論はこうです。宣伝の数字は、満員の売上か、配置の内訳が分からない少ない人件費のどちらかを前提にしていることが多い。 説明会では、開業1年目の利用率と、人件費の職種別の内訳を出してもらってください。
この業態の数字で分かる前提
1. 1回あたりの給付費は約1.2万円
- 子ども1人が1日通うと、事業所に入るのは都市部で約12,007円です(放課後等デイサービス・試算)。基本報酬と加算、処遇改善加算を含みます。国の経営概況調査から逆算した全国平均(約12,140円)とほぼ同じです。地方は1単位の単価が低く、11,015円になります。
2. いちばん大きな費用は人件費で、定員が埋まらなくても減らない
- 当サイトの想定配置の人件費は月181万円です(試算)。子どもが少ない日も、職員は減らせません。国の調査でも、収入に占める給与費は64.4%でした行政資料。だから利用率がすべてです。
3. 児発管を誰が務めるかで、残る額が大きく変わる
- 児発管の人件費は会社負担込みで月44万円です。オーナー本人が要件を満たし、常勤で入れば、児発管の給与は払いません。ただしその分はオーナーの労働の対価で、生活費をここから出します。自社の社員が入る場合は、その社員の給与がかかるので、会社全体の支出は減りません。てらぴぁぽけっとの試算では、児発管を雇うと月7万円、オーナー本人が入ると労働報酬込みで月51万円、生活費として月25万円を引くと月26万円でした。
4. 入金は2か月後
- 給付費は、サービスを提供した月の2か月後に入ります。初期費用とは別に、営業開始後の追加資金需要として、定常時は売上2か月分前後の給付費の入金待ちが生じます。標準の利用率の放課後等デイサービスで471万円前後です(試算)。
決め手は3つだけ
1. 児発管を誰が務めるか
- これが最初の分かれ道です。採用するなら、今の報酬と人件費では、本部費を払って利益を残すのは難しいです。オーナー本人が務めても、その分は自分の生活費になります。自社の社員が務めるなら、その給与は事業の費用です。採用する場合、児発管の退職は減算に直結します。後任が見つかるまでの手当てを、本部がどこまでするのかを聞いてください。
2. 本部が加盟店の何を点検しているか
- 今回見つかった2件の処分は、どちらも長く続いていました。説明会では「SVが巡回します」ではなく、何を、どの頻度で確かめるのかを聞いてください。具体的には、児発管と職員の勤務表、サービス提供の実績記録と請求の照合、個別支援計画の更新、自己評価の公表です。
3. 出したい地域で、指定と利用者が取れるか
- まず自治体に、総量規制の有無と新規指定の相談の状況を聞きます。次に、近くの事業所の数と、相談支援事業所の紹介の状況を調べます。事業所は全国で約2.4万か所あり、2021年から4割増えました行政資料。
市場・収益分析の要点と、事業所の推移の記録
03市場・収益分析
10社を同じ物差しで調べて分かったこと
直近1年で、一覧に新しく載った事業所より消えた事業所が多い本部がある
公式の事業所一覧の直近1年分(区間が9〜15か月の本部)を事業所名で突き合わせました。直近1年の集計は3本部のみ済みです。一覧に新しく載った事業所より、一覧から消えた事業所が多い本部が1社ありました。こどもプラスは一覧に新しく載った事業所2事業所・一覧から消えた事業所11事業所です。てらぴぁぽけっと・ブロッサムジュニア・チャイルドハート・放課後デイGranny・Plus+daysは直近1年分が未集計のため含みません。
上:直近1年で一覧の店が増えた本部/下:減った本部。括弧内は起点→終点の事業所数と、一覧に新しく載った事業所・消えた事業所の数です(起点+載った−消えた=終点)。一覧の動きで、実際の開店・閉鎖とは限りません。消えた事業所には移転・改名を含む場合があります。3年前にあった事業所がどれだけ残っているかは、市場・収益分析にあります。
黒字に必要な利用率(定員に対する割合)は、本部によって違う
定員の違う事業所を人数で並べると、規模の差が混ざります。定員に対する利用率に直すと、黒字に必要なのは低い本部で73.2%、高い本部で96.1%です(都市部・児発管を雇う試算)。全国平均の利用率は85.5%です。
低いほど、利用が集まらなくても赤字になりにくい(毎月の本部への支払いの総額を確認できた本部。参考扱いの4社は除く)
初期費用を取り戻すまでの期間は、確認できた2社とも判定の期限(5年)を超える
標準の月の延べ利用人数・都市部の試算です。判定に使う回収の期限は5年で、図の縦線が期限です。毎月の本部への支払いの総額と初期費用を確認できた2社のうち、2社は期限内に初期費用を取り戻せません。本部への支払いが非公開・未確定などで参考扱いの4社は、この数に入れていません(本部ページに参考値)。
公表の初期費用に物件取得費が入っていない(入るか分からない)放課後デイGrannyも、この図から外しました(物件取得費を足した回収の幅は本部ページに参考として載せています)。
短いほど早く回収できる(開業から6〜12か月で月の延べ利用人数が上がる前提)。確認できた2社をすべて表示。回収は、本部が公表した初期費用(判明分の合計・税込)で計算しています。物件取得費・内装など開業支出の一部を含まない本部は、実際の回収はさらに延びます(立ち上がりの赤字は月別の試算に入れてあり、予備は回収の対象に入れません)
項目ごとの説明・宣伝文句の読み方・言いにくいこと
そのまま判断材料にしない宣伝文句
- 「売上の98%は国から入金。回収リスクがない」。 未収のリスクが小さいのは本当です。ただ単価は国が決め直し、2026年6月には新規指定の基本報酬が下がりました。入金も2か月後です。
- 「オーナーが教室に入る必要はない」。 運営は職員に任せられます。ただ指定と法令順守の責任は、オーナーの法人にあります。
- 「稼働率50%で黒字」。 Grannyの説明です。人件費の職種別の配置と勤務時間の内訳を確かめるまで、あてにしないでください。
- 「全国○○拠点」。 ウィズ・ユーの「福祉教室500店舗以上」は、公式の施設一覧の431施設より多い表示です。こぱんはうすさくらの「233拠点」は、教室ページ246(相談支援事業所を含む)と数え方が違います。
言いにくいこと
大手でも、加盟店の長期の不正を止められていません。 不正をしたのは加盟店です。それでも、何年も続いたこと、本部が説明していないことは、加盟を考える人にとって大事な情報です。同じ看板の不祥事は、自分の事業所の評判と採用にも響きます。
比べる候補のてらぴぁぽけっとにも、確かめるべき点があります。 運営会社のオークニ商事は、2025年3月まで募集ページで「こぱんはうすさくら」を約100店舗展開してきたと書いていました企業公表。こぱんはうすさくらの加盟店で児発管の不在が続いたのは2019〜2024年です。その間の点検を誰が担っていたかは公表されていません。説明会で必ず聞いてください。答えによっては判定を見直します。
- 費用を公開する本部が少なすぎます。 10本部のうち、物件取得費まで含めた初期費用の総額を公式に出したのは2本部(てらぴぁぽけっと・シュウエール)でした。Grannyの499万円(税別)は物件取得費を除いた額です。子どもを預かる公費の事業なのに、加盟の判断に必要な数字が、資料請求をしないと出てきません。
- 「社会貢献」と「儲かる」を同時に強く言う本部には、慎重になってください。 報酬は、子どもの支援の対価として税金から払われています。高い利益率をうたうほど、人件費や支援時間を削る誘因が強くなります。
- 売りに出ている事業所が多いです。 バトンズで「放課後等デイサービス」を検索すると939件でした編集部の集計(2026年10月8日)。譲渡額1円や10万円の案件もあります。児発管の補充が必要な案件もありました。辞めるときに初期費用を取り戻せるとは限りません。
承継・独立開業の説明
それでも始めたい人へ
「おすすめ」は0本部です。
全業態で同じ規則に、この業態の規則を足して当てた結果です。児発管を雇う配置・標準の利用率で、5年以内に初期費用が戻る本部がありませんでした。
- 「条件次第」は0本部です。2026年10月8日に、オーナーが児発管として入る試算の回収を、生活費月25万円を引いて計算し直しました。その結果、標準の利用率で5年以内に初期費用が戻る本部がなくなり、てらぴぁぽけっとを「条件次第」から「様子見」に変えました。自社の社員が児発管として入る場合は、その社員の給与がかかるので、児発管を雇う場合と同じです。「おすすめしない」はこぱんはうすさくら、放課後デイGranny、こどもプラスです。
- 残りの本部は、費用か初期費用の総額が公式に出ておらず「様子見」にしています。
- どの本部でも、説明会では次の4つを書面で求めてください。初期費用の総額と毎月の本部への支払いの全部。開業1年目の事業所の利用率。児発管が辞めたときの本部の支援。本部が加盟店の何を、どの頻度で点検しているか、です。