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美容室 フランチャイズ

美容室フランチャイズの調査記録(全文)

美容室フランチャイズの比較で使った前提・市場の分析・項目ごとの説明を、省かずに載せます。結論と比較表は美容室フランチャイズ比較にあります。

前提の説明と試算の記録

売りに出ている店で観察された数字は、試算の62%に届いていない

当サイトは、予約や席が62%埋まる前提で各本部の収支を試算しています。

カラー専門店11本部の試算では、1店の年商の中央値は62%で1,560万円、40%で1,006万円です(税抜)。

  • 一方、事業承継サイトで売りに出ているカラー専門店の単店は、年商の中央値が1,200万円でした(12店)。金額としては40%の試算に近い水準です。これは稼働率を測った数字ではなく、店の大きさや人数も違う、売りに出ている店で観察された数字です。件数も少ないですが、62%を当たり前と考えるのは危険です。
  • 美容室全体では、年商が分かった単店165店の中央値は1,450万円でした編集部の集計。利益が分かった117店では、年の利益の中央値は250万円です編集部の集計。16店は赤字でした。数字はすべて売り手の申告です。
  • ですから、この記事では稼働率40%の「低い場合」と、62%の「比べるための場合」の両方で見ます。62%に届く確率は分かっていません。

この業態の数字で分かる前提

  • 施術するのは、全員が美容師でなければなりません。 オーナー自身は免許がなくても店を開けます(美容師法)。ただ、売上は美容師の人数でしか増えません。
  • 美容師が2人以上いる店には、管理美容師が要ります。 免許を取って3年以上の実務と講習が条件です。美容師でないオーナーは、まずこの人を採れるかを確かめてください。
  • 小さな美容室は、ほとんど利益が出ていません。 公庫の調査では、小さな美容業の営業利益率の中央値は0.1%です。人件費は売上の約42%を占めます。
  • 人が辞めると、その人の売上がそのまま消えます。 2025年の美容室の倒産は235件で、過去最多でした。人手不足が理由の倒産は11件で、2013年以降で最多です。

決め手は3つだけ

1. 美容師を何人、どの雇い方で確保できるか

  • 美容室の売上の上限は、施術できる人の数で決まります。だから、最初に考えるのは本部のブランドではなく採用です。
  • カラー専門店は、パートの美容師で回す業態です。求人の時給は1,100〜1,550円が中心でした。NÜTTEの本部は、総合美容室の約4倍の応募があったと説明しています。
  • 総合美容室や髪質改善は、業務委託の歩合(売上の40〜55%)が中心です。帝国データバンクは「技術が身につくと独立するケースが多い」と書いています。
  • 売りに出ている美容室の本文を読むと、人手不足やスタッフの退職を挙げた案件は28件でした。業績不振を挙げた案件は7件です。売り手が書いた理由では、売上より人が多く挙がります。ただ、理由は売り手の自己申告で、不振は少なめに書かれやすいものです。

2. 家賃の安い場所に出せるか

  • カラー専門店の1回の料金は2,200〜3,900円です。単価が低いので、都市部の家賃を吸収できません。
  • 当サイトの試算(稼働率62%)で、月の利益は次のように変わります。
本部都市部の家賃地方の家賃
カラープラス7万円22万円
ビーマイル−14万円4万円
ハハカラー−12万円12万円
ラポールヘア5万円33万円

カラー専門店を都市部で出すなら、試算の段階で利益はほとんど残らず、赤字になる本部もあります。地方の商業施設か、スーパーの中が前提です。

3. 最近、一覧に何店載って、何店消えたか

「全国◯店舗」は、過去に積み上げた数字です。今どう動いているかは、直近の一覧の動きで見てください。本部ごとに保存がある時点が違うので、期間も並べて書きます。一覧から消えた店は、閉店とは限りません。移転や改名、ブランドの乗り換えも含みます。

本部期間(〜2026年10月)新しく載った消えた
Dears2025年9月〜(約1年)2店14店
セブンカラーズ2025年11月〜(約11か月)0店5店
ラポールヘア2025年9月〜(約1年)0店5店
モッズ・ヘア2025年12月〜(約10か月)0店4店
Zina2025年8月〜(約1年2か月)27店2店
Organic2025年10月〜(約1年)4店0店
カラープラス2024年10月〜(約2年)48店0店

カラープラスの48店は、1年ではなく約2年分の数字です。消えた店はありません。逆にラポールヘアは、2025年9月の60店から55店に減り、新しく載った店がありません。


市場・収益分析の要点と、店の推移の記録

03市場・収益分析

19社を同じ物差しで調べて分かったこと

1

直近1年で、一覧に新しく載った店より消えた店が多い本部がある

公式の店舗一覧の直近1年分(区間が9〜15か月の本部)を店名で突き合わせました。直近1年の集計は14本部のみ済みです。一覧に新しく載った店より、一覧から消えた店が多い本部が5社ありました。Dears髪質改善美容室は一覧に新しく載った店2店・一覧から消えた店14店です。

4本部(サンキューカット・美容室イレブンカット・クイックカットBB・ヘアカラー専門店カラープラス)は、取得できた最新の区間が1年でない(9か月未満か15か月超)ため除外しました。

Zinaヘアサロン+25店(70→95店・載27・消2)
パーソナルヘアカラー専門店 NÜTTE+5店(6→11店・載5・消0)
Dears髪質改善美容室−12店(138→126店・載2・消14)
ラポールヘア−5店(60→55店・載0・消5)
ヘアカラー専門店 セブンカラーズ−5店(25→20店・載0・消5)
モッズ・ヘアブランドシェア−4店(46→42店・載0・消4)

上:直近1年で一覧の店が増えた本部/下:減った本部。括弧内は起点→終点の店舗数と、一覧に新しく載った店・消えた店の数です(起点+載った−消えた=終点)。一覧の動きで、実際の開店・閉店とは限りません。消えた店には移転・改名を含む場合があります。3年前にあった店がどれだけ残っているかは、市場・収益分析にあります。

2

黒字になる稼働率は、本部によって1倍以上違う

同じ式で試算すると、黒字になる稼働率は低い本部で53%、高い本部で59%です。

低いほど、予約が少なくても赤字になりにくい(都市部・税抜の試算。雇用条件は本部ごとに違い、各本部の試算の前提は本部ページにあります。毎月の本部への支払いの総額と主要な入力を確認できた本部だけで、参考扱いの16社は除く)

3

初期費用を取り戻すまでの期間(確認できる本部なし)

稼働率62%・都市部の試算です。判定に使う回収の期限は5年で、図の縦線が期限です。毎月の本部への支払いの総額と初期費用を確認できた0社のうち、0社は期限内に初期費用を取り戻せません。本部への支払いが非公開・未確定などで参考扱いの16社は、この数に入れていません(本部ページに参考値)。

公表の初期費用に物件取得費が入っていない(入るか分からない)ヘアカラー専門店 リピカラーも、この図から外しました(物件取得費を足した回収の幅は本部ページに参考として載せています)。

短いほど早く回収できる(開業から6か月で稼働率が上がる前提)。確認できた0社をすべて表示。回収は、本部が公表した初期費用(判明分の合計・税抜)で計算しています。物件取得費・内装など開業支出の一部を含まない本部は、実際の回収はさらに延びます(立ち上がりの赤字は月別の試算に入れてあり、予備は回収の対象に入れません)

市場・収益分析レポート19社の店舗数の増減・損益分岐・回収期間・本部の体制をすべて見る(約10分)

項目ごとの説明・宣伝文句の読み方・言いにくいこと

お金のほかに見る3つのこと

美容室は、薬剤を頭皮に直接使う仕事です。

カラー専門店は、その薬剤を1日に何十人にも使います。だから、お金の試算とは別に、薬剤の皮膚障害、免許と管理美容師、人の確保の3つを本部ごとに見ました(全項目の決まりは評価ロジックに書いています)。

1. 薬剤の皮膚障害:カラー専門店ほど、事前のテストが仕組みにしにくいから

  • 毛染めの皮膚障害は、消費者庁の事故情報データバンクに毎年度200件前後登録されています(2010〜2014年度、消費者安全調査委員会の報告書)行政資料。原因の多くは、一般的な白髪染めに使う酸化染毛剤によるかぶれです。一度かぶれると、その後は同じ系統の薬剤で染められなくなります。染毛剤の説明書は、毎回、染める48時間前に皮膚アレルギー試験(パッチテスト)をするよう求めています。
  • 予約なしで、短時間で、低価格で、というカラー専門店の強みは、この事前のテストと相性がよくありません。判定の対象のカラー専門店11本部の客向けサイトで、事前テストの案内を確かめました編集部の集計(2026年10月8日)。
本部客向けサイトで確かめられた案内
ヘアカラーFit!パッチテストの専用ページ。無料のテストキットを届ける
リアンカラー事前のパッチテスト(無料)を勧め、テスト当日は施術しない
ツヤイロジアミンにアレルギーのある人は染められないとFAQで案内
カラープラスパッチテストの案内は見つからず。「REZOシステムでアレルギーを未然に防ぎ 白髪を増やさない」と表示
ほかの7本部トップページで見つからず(読み取れないページもあり、案内がないとは言い切れません)

カラープラスの表示は、編集部には根拠が分かりませんでした。国の報告書は、染める前のセルフテストを、アレルギーが現れるかどうかを確かめる唯一の手段としています行政資料。この表示を信じたお客さんが事前のテストを省けば、かぶれたときに責任を問われるのは店です。

加盟を考える人は、この表示の根拠を本部に書面で求めてください。

2. 免許と管理美容師:施術者全員の免許と、2人目からの管理美容師

  • 美容の施術は美容師だけができます。美容師が2人以上いる店は、管理美容師(免許を取って3年以上の実務と講習)が要ります。この点は上の「この業態の数字で分かる前提」に書いたとおりです。オーナーが美容師でない本部では、免許を誰がどう確かめるか、管理美容師が辞めたときに本部がどう手当てするかを確かめてください。

3. 人の確保と業務委託:雇い方で、法律の責任が変わるから

  • 総合美容室や髪質改善は、業務委託のスタイリストが中心です。2024年11月からはフリーランス法がかかり、条件の書面での明示や報酬の支払期日の決まりを守る必要があります。業務委託と言いながら、勤務時間や指示を社員と同じように縛れば、雇用とみなされる危険もあります。本部の「業務委託で人件費を変動費に」という説明は、この線を越えない運営とセットで聞いてください。
  • 編集部の結論: 19本部の本部名・運営会社名・ブランド名で、2026年10月に処分の公表・裁判例・報道を検索した範囲では、美容師法違反の処分や薬剤の事故の判決・報道は見つかりませんでした(見つからないことは、無いことの証明ではありません)。判定を変えた本部はありません。カラー専門店を「おすすめ」にする条件に、客向けサイトで事前の皮膚アレルギー試験を案内していることを足しました。
  • 今のカラー専門店の「条件次第」(カラープラス、オーガニック)は、どちらもこの案内を確かめられていません。

そのまま判断材料にしない宣伝文句

  • 「撤退店舗0」「閉店した店舗は1つもない」。 カラープラスは一覧の照合でも消えた店はゼロでした。ただ店の7割は、この3年で一覧に載った店です。3店しかないリピカラーの「撤退店舗0」も同じ文句です。
  • 「加盟店の94%が黒字化」。 カラープラスは2023年12月(24店)から今(81店)まで、同じ94%を掲げています。店が3倍になっても数字が一度も変わっていません。
  • 回収期間。 本部の言う回収期間は、後から延びていました。セブンカラーズは「2年程」から「3〜5年程」へ。Organicは「3〜5年」から「5年前後」へ。カラープラスは「3年で回収」から「最短3年で回収」へ変えています。
  • 「加盟金0円」「ロイヤリティ0円」。 セブンカラーズは2022年に加盟金100万円・固定ロイヤリティに変えました。それでも「利益率30%」の表記は変えていません。ツヤイロのように、本部の収入が薬剤の販売とみられる本部もあります。
  • 募集ページの店舗数。 古い数字のまま止まっている本部が目立ちます。Dearsは2019年から「70店舗以上」、モッズ・ヘアは2015年から「オーナー60名超」です。サンキューカットは「総店舗数356店舗」ですが、店舗検索では約260店でした。
  • 「残り◯店」「年◯店舗限定」。 カラープラスは「2024年出店可能残数11店舗」の後に「残り14名で募集終了」、今は「1次募集の受付は一旦締め切り」です。クイックカットBBの「年6店舗限定」は約2年続きました。
  • モデルケースの月商。 ココデカラーの旧モデルは月商250万円でした。本部が公開した全店の中央値は132.1万円です。リアンカラーは、1号店を開く前から「売上200万円のモデル」を載せています。

表示が変わること自体は、プランの変更や表現の見直しでも起きます。変わったこと自体を悪いとは決めません。ただ、過去の数字では契約できません。変わった理由と今の条件を、本部に書面で聞いてください。


言いにくいこと

美容師でない人が、1店の利益で暮らすのは難しいです。 カラープラスの試算は、地方で稼働率62%でも月22万円です。40%なら月14万円の赤字です(パート2人の給与は予約に関係なくかかる前提・税抜の試算)。売りに出ている単店の利益も、中央値は年250万円でした。人に任せる型は、複数店を持つ前提で考えてください。

  • Organicは「おすすめ」から「条件次第」に変えました。 店は3年で17店から30店に増え、消えた店はありません。ただ本部自身が、回収の目安を「5年前後」と書いています。当サイトの試算の回収(稼働率62%・初期費用1,800万円で、地方2年4か月・都市部3年)は参考値です。本部の収支例(月商250万円で営業利益35万円)より利益を高く見ていて、差が出る費目がまだ分からないため、判断には使っていません。
  • 初期費用も1,500万〜1,800万円に上がりました。
  • ラポールヘアは、出店が止まっています。 費用と標準の収支を公開している点は評価できます。でも、この1年は一覧に新しく載った店がなく、5店が消えました。地方の家賃なら試算で回収29か月なので判定は「条件次第」ですが、消えた店の理由が分かるまでは、契約を急がないでください。
  • クイックカットBBの加盟店は、3年間増えていません。 募集ページの加盟店数は、2023年8月から96〜97店のままです。全国の店の表記は増えましたが、増えたのは本部側の店です。費用の資料も2016〜17年ごろのものしかありません。
  • Dears・LeaF・ツヤイロの募集ページには、同じ言い回しがあります。 「スタッフが一斉に辞める」「他店で撤退する立地でも」などです。Dearsのページは2019年からほぼ書き換わっていません。成功例は今も、一般募集の前に試した2店です。
  • 最大手のAgu.は、外から加盟できません。 加盟店のオーナーは社内の美容師出身です。ただ、上場するAgu.の加盟店の退店は年約2.5%で、良い物差しになります。Dearsは年約8%、セブンカラーズは年約10%の店が一覧から消えています。
  • 裁判や行政処分の記録は、調べた範囲で見つかりませんでした。 19本部の会社名で、裁判例・消費者庁・公取委・適格消費者団体を調べました。厚労省の労働関係の公表は、直近1年分だけを照合しています。記録がないことは、問題がない証明ではありません。
  • 業界団体(JFA)の会員は、サンキューカットだけでした。 ほかの本部は、今の会員一覧に載っていません。会員かどうかで本部の良し悪しは決まりませんが、契約前の書面を出してもらう交渉は自分でする必要があります。社員の口コミでは、イレブンカットの評点が2.21(77件)と低く、休日の少なさを挙げる声が目立ちました(真偽は未確認)。
  • 本部の体制は、人数では比べられません。 19本部とも、gBizINFOに厚生年金の加入者数が載っていませんでした。仮に載っていても、それは直営店のスタッフを含む数で、支援担当の人数ではありません。
  • 売って取り戻せる額は、初期費用より小さい側にありそうです。 売りに出ている単店の希望価格は、中央値で400万円です(売り手の希望で、成約額ではありません)。売値は年の利益の約1.7倍が中央値でした。一方、本部が公表する初期費用は、多くの本部で600万円を超えます。希望価格と初期費用は別々の店の数字なので、売った店のうち何割が初期費用を取り戻せなかったかまでは分かりません。傾向として、売却を出口の当てにしないでください編集部判断。